むち打ちって何?
「むち打ち」は、主に自動車の追突、衝突、急停車などの衝撃で頭部が鞭(むち)のように激しく前後にしなり、頚部(首)などに障害が発生することをいいます。
「むち打ち症」のほとんどは、事故の際の強い衝撃により、全身の筋肉バランスが崩れることが原因で起こります。
しかし、筋肉や靭帯に損傷があっても、レントゲン検査ではすぐに異常が認められることが少なく「自覚症状はあるのになかなか損傷を認めてもらえない」というのが、患者さんの一番悩まされるところです。また、事故直後にははっきりとした症状が現れないこともあり、2~3日経ってから体の変調に気づくということも多くあります。
「むち打ち症」という病名はありません。正式には「頚椎捻挫」、「頚部挫傷」、「外傷性頚部症候群」などと呼ばれます。多くの方は下記のような傷病名に診断され、さまざまな症状が出てきます。
分類と主な症状
1. 頚椎捻挫型
むち打ち症状の中でももっとも多く、全体の70~80%を占めるとされています。
頚椎(首の骨)の周りの筋肉や靭帯、軟部組織が損傷されます。
【主な症状】
首の後ろや肩を動かした時のにぶい痛み(首を伸ばすと痛みが強くなる)、首や肩が動きにくい運動制限、首・肩・背中の凝り、頭痛・めまいなど
2. バレリュー症候群(後部頚交感神経症候群)
頚部(首)の交感神経の働きが異常になり、頚椎に沿って走っている椎骨動脈の血流が低下します。
むち打ちを負う事故にあった後、適切な安静が保たれていないと起こる可能性が高いと言われています。
【主な症状】
頭痛、首や肩の痛みや凝り、めまい、耳鳴り、吐き気、目のかすみ、視力低下、片方の顔の痛み、声がれ、飲み込みにくい、胸の締めつけ、全身の倦怠感、集中力の低下など
3. 神経根症型
頚椎(首の骨)に歪みが出ることで神経が圧迫され、主に首や上肢(手や腕)に症状が現れます。
この痛みは咳やくしゃみをしたり、首を横に曲げたり、回したり、首や肩を一定の方向に引っ張ったりした時に強くなります。
【主な症状】
首の痛み、腕の痺れや痛み、だるさ、筋力の低下、顔面痛、後頭部の痛み、ベールを被ったような顔の違和感など
4. 脊髄症型
頚椎(首の骨)の脊柱管を通る脊髄や、下肢(脚部)に伸びている神経が損傷されます。
首の脱臼骨折を合併している場合や、もともと首に自痛がある方は脊髄を痛めることがあります。
【主な症状】
腕や手、指先、下肢の痺れ、知覚異常、歩行障害、排尿・排便をしにくいといった膀胱直腸障害など
5. 脳脊髄液減少型
症状がきわめて多彩であり、いわゆる不定愁訴(原因不明の身体の不調)が相当します。一時的に髄液圧が急上昇しその圧が下へと伝って腰椎の神経根にもっとも強い圧がかかることでくも膜が裂け、脳脊髄液が漏れ出ると考えられています。
むち打ち症が何年も治らない方に可能性があるとも言われています。初期症状は頭痛が特徴的であり、天候や気圧の変化に左右されます。
【主な症状】
頭・首・手・足などのさまざまな痛み、聴力・視力・味覚の障害などの脳神経症状、自律神経症状、不眠、鬱などの大脳機能障害、倦怠感、月経困難など
※他にもさまざまな症状が出現します
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